新しく「ハナヒョウタンボク日記」を始めることにしました。
というのも、ハナヒョウタンボクがご自宅に自生している軽井沢の知人に枝を譲っていただき、挿し木に挑戦しているからです。
もし、挑戦が失敗に終わってしまうと、終了… ということもありますが、うまくいった時の成長過程を記録に残せればと思っています。
挿し木の挑戦は先月5月8日から始まっており、現在、芽が出てきたのかな?!といったところ、詳細は後述します。
詳細の前に、まずハナヒョウタンボクの紹介です。
【ハナヒョウタンボク(花瓢箪木)】
石川功一 《ハナヒョウタンボクの花》 1999年6月9日 水彩スケッチ
スイカズラ科の落葉小高木。5月下旬から6月上旬に花を咲かせ、9月から10月にかけて赤い実を付けます。
軽井沢に自生する植物の中でもとりわけ希少な植物の一つで、日本が大陸と陸続きであったことを証明する木といわれ、氷河期に日本が寒冷であった頃には、東北、関東、中部各地に広く分布していたと考えられています。
現在では気候が清涼な軽井沢を含む青森、岩手、群馬、長野の限られた地域で自生が確認されていますが、さらなる温暖化と共に絶滅が心配されている植物です。
現在(2023)のレッドリストでは環境省、長野県共に絶悦危惧U類。軽井沢の長倉ハナヒョウタンボク群落は長野県の天然記念物に指定され保護されています(現在一般には非公開)。

軽井沢 自生地のハナヒョウタンボク 2010年6月12日
【ハナヒョウタンボクの挿し木の現状】
6月3日現在、枝の節4か所から4つの芽が出始めたところです!
2023年6月3日 軽井沢草花館 ハナヒョウタンボク 挿し木
以下、挿し木を始めた時から遡ってから挿し木の過程を振り返ります。
尚、挿し木をするにあたっては、知識も経験もなかったので、事前に植物園の園長先生にアドバイスを求めました。
先生からは「5月に入ってから花が咲くまでの間の時期が良さそう」「少なくても2節分は地面に植えた方が良い」ということでした。
【20230508:枝をいただく】
軽井沢の知人宅でハナヒョウタンボクの枝をいただきました。
いただいたのは、長さにして50a程度の枝を2本と40a程度に伸びたひこばえの枝先2本の計4本。
この日は夕方だったので、帰ってからすぐに花瓶に活けておきました。
※挿し木をするときには、自分の庭の植物を使うか、他人の所有する土地の植物を利用したい場合、必ず所有者に承諾を得てから行わなければなりません。他人の所有の土地から無許可で枝を持ち帰ることはしてはいけません。
【20230509:花瓶に活ける】
譲っていただいたハナヒョウタンボクの枝は下の写真のように花瓶に活け、このままの5月10日まで活けました。
2023年5月9日 軽井沢草花館 花瓶に活けておいたハナヒョウタンボク
【20230510:地面に挿し木始める】
5月10日の朝、5月8日の夕方から花瓶に活けておいたハナヒョウタンボクを地面に挿してみました。
スコップで地面を30aほど掘り、活けておいたハナヒョウタンボクの枝を、節が2〜3つ埋まるようにして挿して、再び土を埋め戻しておきました。ただ、この時は、葉っぱが付いたままの状態の枝をそのまま挿していました。
終わってからたっぷりの水をまきました(以降、1日3〜4回たっぷりの水を与えています)。
下の写真は地面に挿した後に撮影したものです。
そして白い線で囲った箇所が、6月3日現在芽吹きの始まっている枝となります。
2023年5月10日 軽井沢草花館 挿し木したハナヒョウタンボク
【20230516:葉っぱを一部間引く】
5月10日に挿し木した枝にこれといった変化もなく、葉っぱも元気な状態でした。
しかし、葉っぱがたくさんついた状態の枝では良くないのではないか?
と思って、大半の小枝を切り取りました。全体的に葉っぱが3分の1くらいになってすっきりしました。
葉っぱはまだ元気な状態ですが、地上部分の節から芽が出てくるような兆候は見られません。
2023年5月16日 軽井沢草花館 枝の一部を剪定したハナヒョウタンボクの挿し木
下写真:切り取った小枝も地面に植えて挿し木にしました(全部で27本分)
2023年5月16日 軽井沢草花館 新たに植えこんだハナヒョウタンボクの挿し木
【20230521:枝の葉っぱをすべて取る】
葉っぱの元気がなくなってきました。芽が出てくる気配もありません…
そこで、思い切って葉っぱをすべて取り除くことにしました。
2023年5月21日 軽井沢草花館 葉っぱを付けた状態のハナヒョウタンボクの挿し木
下写真:葉っぱを取り除いたハナヒョウタンボク挿し木
2023年5月21日 軽井沢草花館 全ての葉っぱを取り除いた状態のハナヒョウタンボクの挿し木
【20230529:花が1輪だけ咲く】
5月8日に枝をいただいてから3週間。
1本の挿し木から一輪花が咲きました!
まさか、花が咲くとは思っていなかったので、驚きです。
しかし、次の日の朝には花びらが地面に落ちてしまっていました。
2023年5月21日 軽井沢草花館 挿し木で咲いたハナヒョウタンボクの花
【20230601:節から芽が2つ出る】
枝をいただいてから24日目。
挿し木をしてから22日目。
初めて”芽”と思われるものを2つ観察しました。
節のところから長さ0.5_から1.0_程度の小さな芽が出てきていました(下写真)。
2023年6月1日 軽井沢草花館 ハナヒョウタンボクの新芽
下写真:全体の姿
2023年6月1日 軽井沢草花館 ハナヒョウタンボクの挿し木
【20230603:節から芽が4つに増える】
本日の朝、いつものように観察しに行くと、昨日は2つ出ていた芽が4つに増えていました。
2023年6月3日 軽井沢草花館 ハナヒョウタンボク 挿し木
以下、@からCまでの拡大写真です。
芽の長さは0.5_から2.0_ととても小さく感じます・
2023年6月3日 軽井沢草花館 ハナヒョウタンボク 新芽@
2023年6月3日 軽井沢草花館 ハナヒョウタンボク 新芽A
2023年6月3日 軽井沢草花館 ハナヒョウタンボク 新芽B
2023年6月3日 軽井沢草花館 ハナヒョウタンボク 新芽C
以上